おととい来たばかりだけどまた寸又峡に来てしまいました。今日のお題は寸又川に沿って林道をMTBで走ること。いちおう目標として無想の吊橋か光岳(てかりだけ)登山口のどちらかを目指すことにしました。
今日はこの上なく天気がいいです。10:00に林道寸又川左岸線ゲート脇から林道に入りました。標高423mのゲートから標高1065mの林道日向線分岐までひたすら上りが続きます。
30分ほど走って朝日岳登山口へ。朝日岳登山の時は寸又峡温泉から猿並橋を渡って来たけれどこちらの方が断然早いです。
ところどころ作業員の宿泊施設なのか詰め所なのか小屋があります。ただもう何年も使われた形跡がありません。
実は通販で頼んでいたタイヤが間に合わなくてスリックタイヤで来てしまいましたが、路面は締まっていて結構走れてしまっています。右手に朝日岳、左手には寸又川を挟んで前黒法師岳を望みながら気持ちよく走れてます。前黒法師岳の山肌には林道寸又川右岸線が併走していてあちらも面白そうです。
起点から15kmぐらい走ったでしょうか、正午を少しまわって12:30、標高1065mの林道分岐に辿り着きました。右側が光岳登山口へ向かう寸又川左岸林道、左側が無想の吊橋に向かう日向林道になります。
地図を見ると光岳登山口まではずいぶん先です。ここまで走った距離の3倍はあってとても日のあるうちには帰れないでしょう。誰が名付けたのか「無想の吊橋(夢想の吊橋、または無双の吊橋とも呼ばれているようです)」は永野さんの本※1で、とにかく怖ろしいということは知っていました。この間の夢の吊り橋が全然物足りないものだったこともあってどうしても見たくなり、吊橋まで往復することにする。
分岐からはいきなり結構な下りになるのですが、こちらの林道は寸又川左岸林道と違いかなり荒れててスピードは上げられません。こぶし大の岩がごろごろしているのですが、ふかふかの落ち葉の下に隠れてしまっているのでかなり神経を使います。
途中、路肩が崩壊してました。役目を終えて廃道となる運命なのでしょうか。
深い谷間に千頭(せんず)ダムが現れました。地図には林道からダムに下る道があったので、ダムを経由して寸又川右岸林道で寸又峡温泉まで帰ることも考えていました。実際にはMTBを担いで歩ける道ではありませんでした。
さらに進んで林道脇に黄色いテントを発見!不動岳か大無間山への登山者でしょうか。ここまでサルに威嚇されたり、突然目の前に現れたカモシカに驚かされたりでかな~り心細くなっていたもんだから正直ホッとしました。それにしても相当な物好きだとみました。確かに来るだけで一日かかってしまうからテント泊になっちゃいますよね。
ほとんど紅葉は終わっているのだけど、たまに燃えるようなモミジが残っていて目を奪われます。
下りから上りになってヒイヒイ言いながらペダルを踏んでいると、遠くに小屋を見つけました。林道から少しばかり下ったところに建っていたので遠くから眺めるだけ。何の建物でしょうか?
ところどころガレててペースも上がらず、いいかげんうんざりしてきた頃にようやく吊り橋とご対面!実際に目の前に現れるまで本当にあるの?と疑っていたのですが、その橋はひっそりと静かに架かっていました。それにしても橋から谷まで相当な高さです。ちなみに下を流れるのは逆河内です。
吊り橋の起点あたりに到着したのは14:00でした。林道分岐からいったん679mまで降りて915mまで上がってきたことになります。林道脇で先客?のザックを見つけました。ザイルまで準備されてます。もしかしたら黄色いテントの主でしょうか。
地図だとここら辺から吊り橋まで降りていくみたいで、おそらく先客もここから降りたみたいですが、かなりの急斜面で降りるのに躊躇します。なんだか地図と地形が違うみたいなんだけど…もしかして崩壊したあと?
今回は軽装でスニーカーだし、無理して降りて上がれなくなったらシャレにならない。へたしたら谷底まで落ちないとも限らないし。というわけで敗退っ!
昼飯を食べて来た道を帰ります。
ところでザックの持ち主は無事吊り橋まで辿り着いたのでしょうか?
傾きかけた西日の中、荒れた日向林道を上ります。言いようのない疲労感でいっぱいです。
往きでは気づきませんでしたが光岳・大無間山の標がありました。ここから光岳まで何泊必要なのでしょう。南アルプス深南部の奥の深さにくらくらしたのでした。
林道分岐に辿り着いたのは16:00。分岐からは下り道をかっ飛ばして30分ほどでゲートまで降りてなんとか日没に間に合いました。
吊り橋までたどり着けなかったのは残念でしたが、寸又峡の林道は遠くまで視界がきいて走っていてもかなり楽しいです。今度は光岳登山口まで行ってみたいと思います。林道寸又川右岸線を千頭ダムまで走るのも面白そうです。なんだかいい遊び場を見つけた気分。ただちょっと奥に入ろうとすると今日の先達さんみたいにテント泊が必須ですね。
もちろん帰りは寸又峡温泉の町営露天風呂(¥400)であったまりました。
余談ですがゲートまで戻る下りの途中でGPSがホルダーから外れてしまいました。ストラップをつけてたから谷には落っこちなくて済みましたが、かわりに前輪に巻き込んでしまってリムで削ってしまいました。GARMINには純正でしっかりしたホルダーを作って欲しいものです。
《トラックログ》※
日付 | 2006-11-25 |
メンバー | 1 名 |
沿面距離 [km] | 42.938 |
累積標高差 [m] | +5145, -4991 |
所要時間 | 06:27:23 |
2Dトラックログ | |
3Dトラックログ | |
水平距離 – 標高 グラフ |
※1 永野敏夫・正子著 「南アルプス 大いなる山 静かなる山 知られざるルート120選」。絶版か?浜松市の図書館でたまたま見つけて借りたことがあるんだけど、番号を間違えて登録されてて二度と見つけられないでいる。20カ所あるうちのどこかの図書館にあるはずなんだけど…。
大変な偶然に驚いております。
写真のテントとザックは、私のです。
当日、夢想吊橋に居りましたが、まさか自分以外の人間が現地に居たとは、夢にも思いませんでした。
ちょうど、橋の対岸へ渡っていた時にすれ違いだったのですね。
アルバムを、御紹介します。
http://photos.yahoo.co.jp/ph/beniichi1991/lst
コメントいただいたことに全く気がつかずにおりました。こちらこそ、まさかあの場にいた方からコメントをいただくとは思っておりませんでした。
さっそく写真を拝見させて頂きました。さすがに結構なスケール感ですね。写真ではそれほど傷みもなさそうですがいかがなものでしょうか。
準備を整えてもう一度行ってみようと思いながら、なかなかかなわぬままでしたが、kenさんのコメントでやる気になってきました。行くとしたら紅葉の時期ですね。
はじめまして。
私、平成7年に、この橋を訪れたことがあります。
手摺り代わりの架線は、よくよく見ると体重をかけると危険な構造、
横に張る架線がないので、180度ひっくり返るかもしれないと空想しながらの橋渡り、
真ん中で立ち小便したところ、あえなく霧と散った我が分身を見て、
その高度を再認識して震えたこと。
すべてが懐かしゅうございます。
はじめまして。
沢胡桃さんが行かれた時はまだ手入れがされていたのでしょうか?朽ちたワイヤーが切れて、人知れず谷へ落ちるのもそれほど先の話ではなさそうですね。